こけしは、その生産地によって作り方、頭や胴の模様が違うといことは、前にも書きましたが、大きな違いとして頭の取り付け方があります。
1本の木から頭と胴をすべて作る(津軽系、木地山系)作り付けと呼ばれる最も素朴な製造法。
頭と胴を別々に作りそれぞれに穴をあけて棒をいれて木槌でたたいて固定する(蔵王系、山形作並系、遠刈田系、弥治郎系、肘折系)さし込みと呼ばれる方法。
頭と胴を別々に作り片方は穴、片方に突起を付け、ろくろを回転させて、片方を持っておしつけると木が熱の膨張でゆるくなり、おさまってしまい(土湯系、鳴子系、南部系)抜けてしまうことはない、この方法をはめ込みと呼んでいます。
系統の名称 | 発祥地及び生産地 | 特 徴 | 写 真 |
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鳴子系 | 宮城県鳴子温泉 | 現在、こけしの生産が一番多い 頭を回すとキイキイとなる。 顔の表情は御所人形のようです。 胴の模様は重ね菊を主流としている。 | 岡崎斉司 |
土湯系 | 福島県土湯温泉 岳、飯坂、中ノ沢の温泉と福島市内 | 故佐久間浅之助が始祖といわれている。 胴の模様はろくろを使った縞模様と返しろくろの技法が主流。 頭を回すとキイキイとなる。 中ノ沢温泉の作品は、タコ坊主と呼ばれ、ユニークな描彩です。 | 今泉源治 |
遠刈田系 | 宮城県遠刈田温泉 | こけし製造の歴史は鳴子よりも少し前で、それだけに名人級の工人が多数でている。鳴子に次ぐ産地です。 頭が比較的に大きくおかっぱ頭で、胴模様は重ね菊をモチーフにしたものが多く、華麗な印象を受ける。 | 佐藤丑蔵 |
弥治郎系 | 宮城県弥治郎 | 遠刈田系から分かれたといわれる。 描彩は太い直胴と頭にろくろの縞模様が多く味わい深いものがある。 多くの名品が生まれている。 井上ゆき子さんはおしどり工人として夫婦でロクロを回すようになった。 | 井上ゆき子 |
肘折系 ひじおり | 山形県肘折温泉 | 佐藤周助と奥山運七が始めた。 鳴子系と遠刈田系の手法を受け継いでいる。 胴は鳴子系のような重ね菊が多い。 現在、工人の数がもっとも少ない系統です。 | 奥山庫治 |
津軽系 | 青森県温湯温泉 ぬるゆ 青森県大鰐温泉 おおわに | 故盛秀太郎により作られ、大正時代に生まれた。 小さめの頭におかっぱが多い、胴模様は、津軽藩の家紋であるボタンやダルマ絵に、アイヌ模様を描彩したものが多い。 | 盛秀太郎 |
木地山系 | 秋田県木地山 | 小椋(おぐら)家が代々木地業をしていた。 頭と胴が一体の素朴な形です。 胴模様は、梅の花を描いた前垂れ模様、着物模様が描かれたものがよく知られている。 | 小椋久太郎 |
南部系 | 岩手県花巻市 岩手県盛岡市 | 無彩のおしゃぶりのキナキナが発達したものといわれている。 頭がクラクラ動く、ゆるいはめ込み式になっている。 遠刈田系の重ね菊やヨダレ掛け模様をあしらったものもある。 | 煤孫実太郎 すすまご |
蔵王系 | 山形県蔵王温泉 | 頭は赤い放射状の飾りや黒いおかっぱが多い。 胴が太く安定感のあるこけしに桜くずしが描かれている。 | 阿部常吉 |
山形作並系 | 山形県山形市 宮城県作並温泉 | 他の系統のこけしが温泉地で発祥したのだが、この系統のみは山形市と仙台市で発達した。 作並温泉のものは、山形系の指導を受け、独特の形をつくりあげている。 初期の細い胴は、現在では太くなっている。 直胴と円柱形で山形では梅、作並ではカニ菊とよばれる模様が代表的です。 | 小林清治郎 |